最近の世界的な風潮として、急速な温度変化を求める傾向が強くなってまいりました。
今までは軍需や航空関連の製品向け仕様であるMIL規格向けに、急速温度変化環境試験装置(急速温度変化チャンバー)が主に使われてきました。
しかし、近年通常の温度試験を行なっているお客様にも多数急速温度変化を必要とする環境試験装置が使用されるようになってまいりました。
コマーシャル製品の仕様であるIECやJEDECの要求の中に、15℃/分までの温度変化が要求される仕様がでてきております。
ただ、それだけが理由ではありません。高い温度変化率の試験を行うことは、単に試験時間の短縮になるだけでなく物を壊さずに製品の欠点を早期に発見することができ、製品の信頼性の向上につながることが全てのお客様に理解され始めたからです。
急速温度変化の利点
1 試験処理能力の向上:
高性能環境試験装置を使うと、より多くの製品のテストが可能となります。
2 高いストレスレベルの試験が可能:
急速温度変化試験は製品の設計上の欠陥や、プロセス上の欠点を特定することに効果的です。
3 信頼性の向上:
製品の堅牢性や寿命向上につながります。環境試験は単に製品の合否を確かめる試験から、厳しいストレスによって試験製品がなぜ壊れてしまうのか?を理解する方向に進んできました。欠陥の分析から得られる情報が信頼性の向上に役立ちます。
4 試験槽の数が少なくて済む:
急速温度変化チャンバーは高性能な能力を有し、試験サイクルの回数を少なくすることができるため、一台の高性能の試験槽が複数の低性能の試験槽に取って代わることができます。このことは、少ないフロアスペースで済み、電気代や水道代の節約につながり、 保守サービスも少なくて済むうえに、生産性の向上につながります。
5 運転コストの低減:
トランジッションクーリング(パワーセーバーモード)により、高い温度帯は冷凍機の1台で冷却し、低い温度帯はカスケードクーリング(2台の冷凍機を併用)に切り替えます。このことにより速い温度変化を維持しながら電気代、水道代の節約にも貢献できるようになりました。
6 被試験品向けの温度制御ソフトウエア:
THERMOTRONが独自に開発したソフトウエアのアルゴリズムは、製品への温度変化率を最大にします。
7 最適化されたエアーフロー:
コンデショニングプレナムからの空気の量と流れの速度は、高性能の温度変化率を最適化する際に重要となります。ワークスペース全体を通じて、均一で安定した空気が流れることが重要です。
THERMOTRONは長年に亘り、急速温度変化チャンバーを米軍の契約会社や高性能電子製品の製造会社に向けて開発、製造してきた高性能環境試験装置のリーダー的存在です。THERMOTRONの急速温度変化に対応する考え方は、AGREEやASTシリーズという温度変化を重要視している装置以外にも一般向けの、スタンダード製品にも脈々と受け継がれております。このため急速温度変化の性能の追求はTHERMOTRONの大きな特徴的性能になっています。